ドメインの移管方法を徹底解説します
わかりやすいようで意外と躓く事が多い、ドメインの移管方法について説明していきます。現在登録しているレジストラから他のレジストラへの乗り換えを検討している方は参考にしてください。
ドメインを移管する前の事前準備
ドメインを別のレジストラへ移管するには、いくつかの事前準備が必要です。難しい内容ではありませんので、下記の状態を必ず確認してください。
移管ロックを解除
使用しているレジストラ次第ですが、ドメインに対してデフォルトで移管ロック(Transfer Lock)の設定がされている場合があります。この機能は、レジストラ内のアカウントにログインしていない状況で、悪意のある第三者が勝手に別のレジストラへ移管さてしまうのを防ぐ機能ですので、現在のレジストラから移管する気が無いのであれば、ロックしておくと安心できます。
移管ロックの状態中では、ドメインを移管できないため、一旦解除する必要があります。
移管ロックを解除したからといって、それだけで自動的に移管できたり勝手に移管される訳ではありませんのでご安心ください。
WHOISプロテクトの解除
WHOISプロテクトサービスを利用しているならば、こちらのサービスを解除する必要があります。このサービス名は、「WHOISプロテクト」とか「WHOIS情報公開代行」等とレジストラによってまちまちなので分かりにくいかもしれませんが、要はWHOIS情報を自分の登録した個人情報ではなく、レジストラが提供してくれる情報を代わりに公開するサービスの事です。
このサービスを中止しないと、移管作業時にエラーが出てしまうことがあります。レジストラによってはプロテクションをしたままでも移管できますが、失敗するケースもありますのでご注意ください。
WHOIS情報の正確性
意外と見落としがちなのが、WHOIS情報の正確性です。適当だったり嘘の情報で登録していると、レジストラだけでなくレジストリ側で拒否されエラーとなるケースがあります。
ICANNの規定でも決まっているので、WHOISは必ず正しい情報を登録するようにしてください。
WHOISプロテクションを利用していると、意外と見落としている項目なので、移管前には再度WHOISの情報が正しいものかどうかをご確認ください。
ドメインの使用期限
特定のレジストでは、ドメインの使用期限が残り14日以内の場合だと、移管が拒否されるケースがあります。海外のレジストでたまに見かけますが、有効期限が1ヶ月未満で移管NGという例もあります。移管手続きの間に期限切れになるのを回避する措置の可能性は否めませんが、使用期限が1ヶ月未満での移管作業にはご注意ください。
もし使用期限が残り少ないなら、移管手続きを行う前に、ドメインを1年間延長してから移管手続きを行ってください。
移管禁止期間でないこと
ドメインを新規で取得した場合や他のレジストラから移管した際には、「60日ロック」と呼ばれる移管禁止期間が設定されます。この間はICANNの規定により移管が禁止されていますので、移管が解禁される60日以降に再度移管手続きを行ってください。
具体例
例えば、4/1日にAレジストラからBレジストラへ移管が完了したドメインがあるとします。Bレジストラが思った以上に使いにくいために、新たにCレジストラへ移管させたいとします。
このドメインが移管できるのは、早くとも5/30以降となります。ドメインが現在禁止期間中なのかどうかを確認するには、WHOISでドメインの状態を確認するのが一番分かりやすいと思います。
移管先のレジストラがそのドメインを登録できるかどうか
一般的なgLTDであれば、大体のレジストラで対応できますが、ccLTDや特殊なドメイン名の場合は、対応できないレジストラもあります。
弊社のPure Domainでは、.com,.net,.info,.org,.biz,.jpは対応しておりますが、.coや.meや.xyz,.shopは対応できません。
レジストラがそのドメインを取り扱えるか否かは、各種レジストリとの契約が必要になるため、少し馴染みの薄いドメインを使用している方は特にご注意ください。
Auth Codeのリクエスト
移管成立の要となる暗号キーの取得
レジストラ間でドメインの移管を成立させるためには、Auth Code(オースコード)やEPPコード、EPPキーと呼ばれる文字列をレジストラから取得する必要があります。
現在登録されているレジストラには、移管のやり方を解説してあるサポートページがあると思います。管理画面内にログインした後、ドメインの個別ページから取得できるケースもあれば、海外の著名レジストラの NetworkSolutions や Enom の様にレジストラにAuth Code をリクエストし、5営業日以内にメールで送られてくるようなケースもあります。
お名前.comやGoDaddy、弊社のPure Domainのように管理画面からすぐに取得できるレジストラもあるので、具体的な取得方法が不明な場合は、現在使用中のレジストラに問い合わせるかHPを調べてみるのが早いかもしれません。
移管先のレジストラにコードを送信
無事にAuth Codeを取得できたなら、そのコードを移管させたいレジストラのアカウントにログインをして、移管手続きを行っていきます。もしアカウントを未取得なのであれば、大体のレジストラでは無料でアカウントだけを先に作成することができるので、その準備をしておいて下さい。
ドメインを移管させる(受け入れる)手順は、レジストラ毎に若干の違いはありますが、ドメイン名とその Auth Code を入力するという作業は必須となります。
この暗号キーを移管先のレジストラ内のアカウントで登録して、移管手続きがスタートしていきます。
2通の移管確認メールを必ずチェック
登録者と管理者宛に2通送信
両レジストラ間で移管手続きがスタートしていくと、WHOIS上の「登録者」と「管理者」に設定されてあるメールアドレス宛に移管の最終確認メールが届きます。
多くの場合は、どちらも同じ名前・メールアドレスとなっているかと思いますが、会社名や組織名でドメインを登録されている場合には、異なるメールアドレスが設定されていることもあるかと思われます。
それぞれのアドレスに移管の確認メールが届きます。メール本文中にURLが記載されているので、クリックして開いたページに移管にて、移管を「承認する」「拒否」するかをチェックして、最終確認を行います。
こちらもレジストラ毎で異なり、メール本文のURLをクリックするだけで、「承認」扱いするようなケースもあります。そのため、本文をよく読んでからURLをクリックするようにして下さい。
メールは必ず確認してください
移管手続きの確認メールは極めて重要です。メールを見逃している場合、レジストラによっては日数の経過で自動的に拒否されるケースもあれば、1週間後には自動的に承認となるケースもあります。
つまり、最終的にドメインの移管を中止する最後のチャンスとなっております。そのため、WHOISで登録してあるメールアドレスはこまめにチェックするようにして下さい。ドメインの移管で失敗するケースの中には、WHOISの更新時と同様に、このメール確認の見落としが結構多い印象です。
メールが到着次第、すぐさま承認を行えば、その分移管作業が早く完了します。
メールチェックで意図せぬ移管を防げる
自分で使用しているメールアドレスを設定できていれば、移管の承認や拒否を確実に行なえます。AuthCode自体は文字列なので、他人が使用しているドメインに対して、適当に入力した文字列が奇跡的な確率で一致する確率は0ではありません。限りなく0に近い確率ですが、完全な0%ではありません。そのため、WHOISに設定するメールアドレスは捨てアド登録するのではなく、普段から使用し確認しているメールアドレスが望ましいというは、こうした背景があります。
悪意のある第三者により移管されてしまえば、もう取り戻すのは極めて困難になります。それこそレジストラ・レジストリに連絡をして、法的な機関に介入して貰う必要が出てきます。当然のことながら、レジストリの多くは海外にある会社ですので、やり取りだけでなく最終的に裁判となったら、時間もお金も労力もかかります。しかも膨大な程にです。
移管完了の連絡を待つ
移管手続きが完了すると、現在登録してあるレジストラからは、手続完了の連絡が届くと思います。一般的には移管先のレジストラでも移管が完了したらメールが届くことになっています。サーバートラブル等でドメインの受け入れ完了の連絡ができなかったり、もしかしたら送信自体が無いところもあるかもしれません。
ドメインが移管中なのか完了しているのかは、WHOISで手続き中のドメイン名を入力し現在のステータスを確認すればすぐに分かります。WHOIS上ではドメインが登録されているレジストラ名まで確認できるので、ステータスがACTIVEになっており、移管先のレジストラ名が表示されていれば、移管が完了しています。
移管完了後に確実に、必ずやるべき作業
DNSの確認
Name Server
DNSを確認することは何よりも重要です。基本的には Name Server(ネームサーバー)の情報は引き継げるため、ドメインの移管期間中も移管完了後も問題なくメールの送受信やWEBサイトの運営は行えているはずです。
ただイレギュラーが起きないとも限らないため、特にECサイトを運営していたりメールを使っているケースなら、必ず確認するようにしてください。移管完了後も契約しているネームサーバーになっているかどうか、もしレジストラ側のデフォルトになっていたらすぐに正しいアドレスに更新してください。
AレコードやTXTレコードなど
ユーザーによっては、例えば Google Search Console の設定をDNS認証している方もいると思います。個人的な感想ですが、ドメインの移管後のTXTレコードなどはリセットされる事が多い気がします。そのため再設定が必要となります。AレコードやSPF、CNAMEレコードなど設定が必要な方はご注意ください。
WHOISの更新と確認
移管したドメインは、レジストラによって登録してあるWHOISの情報を引き継げないケースがあります。この場合空白であったりWHOISの情報として適さない適当な情報が挿入されるケースもあります。
そのため、移管が完了した後には必ずWHOISが正しく引き継がれているか確認してください。
WHOISを更新しないとどうなるの?
WHOISを設定しないまま放置している、もしくは正確ではない情報が設定されている場合、レジストラや上位のレジストリによってドメインがロックされるケースが多々あります。Client Hold というペナルティに近い形で使用がロックされるケースが多い気がします。
Client Hold にされてしまうと、WEBサイトやWEBアプリケーションを運営していたとしても、一切表示されなくなります。つまり一切使用できない状態となります。
私が経験した限りでは、海外の特にイギリスを含めたEU各国にあるレジストラからドメインを自社に移管した時は、半日くらいで Client Hold されました。それも毎回です。時差の関係で移管完了時には、ドイツの時間では日中であってもこちらでは夜だったりします。移管完了後から数時間以内にWHOISが更新されていないため、Client Hold になったのだと思われます。
移管直後でかつ前レジストラからの情報を引き継げなかった状態であれば、WHOISを正確な情報に更新したらすぐに復旧可能です。
しかし、悪質だと判断された場合の Client Hold となると、解除するのにものすごく時間がかかると言われております。弊社で管理するドメイン内では経験したことがないのでこの様なケースには遭遇してはおりませんが、聞いた話では、解除長期間に渡るようで根気が必要とのことです。その間はWEBサイトが表示されないため、Client Holdを回避するためにも、WHOISの情報は常に正確なものにしておいてください。
こちらの過去記事もご参考にしてください。
ドメイン所有者が意外と知らないWHOISについて
移管手続きに関するよくある質問
WEBサイト・メールの状況
ファイルサーバーの引っ越しと異なり、ドメインの移管は時間を要する場合があります。しかし移管手続き中でもDNSの設定は引き継ぐので、特に問題が起こらなければ、WEBサイトは通常通り表示されているはずです。
WHOISはうまく引き継げない場合もある
レジストラ間同士によっては、WHOIS情報をきちんと引き継げないケースがあります。またレジストラによっては、WHOIS情報で登録NGの文字列が指定されているケースもあり、移管手続きが完了したらきちんとWHOIS情報を確認するようにしてください。
私の経験上では、「/」や「&」がNGのレジストラがありました。特殊な名前のマンションに住んでいる方や、特に海外在住の方で住所のストリート名や建物や部屋の表記に「/」が入る方は、「-」や「_」など禁則文字以外の他の文字で設定してください。
移管手続き中のステータス
ドメインが移管手続き中の場合のステータスは下記のようなものがあります。
- pendingTransfer
- ドメインを新しいレジストラに移管するリクエストが受信され、処理中であることを示しています。
- transferPeriod
- 新しいレジストラに移管が成功した時のステータスです。新レジストリ側での処理が完了すると、アカウント内でドメインが表示されて管理できるようになります。まもなく全ての移管手続きが完了する状態です。
各ステータスの詳細はICANNのサイト内で確認できます。ステータス一覧はこちらです。全て英語表記なので、Google翻訳などを使えば簡単に翻訳できます。
移管が失敗したら?
ドメインはそのまま
様々な理由により移転先のレジストラへドメインを移管できなかった場合は、現在登録されているレジストラのアカウントに残り続けます。つまりは移管作業開始前と同じ状況へ戻るだけです。
そのため、ドメインがアカウントから消えてしまい、どこかへ行ってしまうという事態はまずありえません。
失敗した原因を参照し、その対策をしてから再度移管申請するだけです。
料金は返金される
ドメインの移管を失敗しても、移管時に支払った金額は返金されます。銀行振込などで対応した場合には、レジストラ側に打診して返金手続きなどを行いましょう。
レジストラによっては即返金とはならずにポイントとして計上され、再度移管申請時に使えるような所もあるかもしれません。そのため、移管に失敗したとしても、基本的に料金は返ってくるのでご安心ください。
移管できない特殊ケース
弊社で経験した特殊な事情によってドメインを移管できないケースや、例外的な事情により移管が拒否されるケースを紹介していきます。
現在のレジストラ側が拒否するケース
現在ドメインが登録されているレジストラ側が拒否するケースがあります。例えばユーザーがドメインの更新費用などを未払いの状態だったり、WHOISに誤りがあったりなど、何かしらのペナルティがあると移管(現在のレジストラからの転出)が拒否されるケースがあります。
紛争中のドメイン
こちらは極めてレアなケースです。ドメイン名に、世界的にも有名な企業名商品名、サービス名が含まれていて、その会社から使用停止の連絡を受けていたり、裁判を起こされているケースです。ドメインであっても商標侵害となるケースです。
第三者が似た文字列・同様の文字列でドメインを申請した場合、権利者から詐欺的な行為を含めた悪意の有無関係なしに利用停止措置の裁判を起こされるケースもあります。
具体例として、JIPAC(日本知的財産仲裁センター)のHPによれば、TIKTOK.CO.JPの所有者が、TIKTOKサイドから訴えられたケースがあります。具体的な内容は下記URLで確認できます。
事件番号:JP2020-0004 https://www.nic.ad.jp/ja/drp/list/2020/JP2020-0004.html
レジストリ指定のプレミアムドメイン
これは私が経験した中でも、極めてレアなケースです。
レジストリがプレミアム指定しているドメインは、他社のレジストラへ移管できないケースがありました。所有しているドメインがプレミアムドメインか否かは調べないとわかりませんが、もし上記で紹介した通りの手順通りに進めたにも関わらず、何度も移管が失敗する場合には、現在のレジストラに理由を問い合わせてみてください。
もしかしたらプレミアムドメインに指定されているケースがあるかもしれません。
レジストリ側が拒否するケース
第三者機関からの介入など、上記のレジストラ側が拒否するよりも更に最悪なケースがこちらです。Client Hold されてしまうと、ただただ解除を待つか期限が切れるのを待つのみとなります。更新したとしても、移管が禁止されているため、使用中のレジストラでは Client Hold が解除されないと何もできないため、完全に詰んだ状態となります。
私自身は経験ありませんが、極めて悪質な運用をしてるとこうなるようです。レジスト側による措置よりも強力なため、このようなケースにならないようコンプライアンスを遵守し健全なドメインの使用を心がけてください。
やっぱり不安
最後に、「やっぱり不安だ」または「わかりにくい」という方は、弊社で移管代行サービスも執り行っております。
https://www.cm-tech.co/jp/buy-domain/management/
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